OCNエコノミーへの長い道
第15部 提供可能エリア
 
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第42章 線路の延長

OCNの契約約款を読んでいると、線路設置費用という項目を見つけた。線路設置費用が100メートルにつき9000円、月額加算額が100メートルにつき55円とある。OCNエコノミーの提供区域の端から我が家までは、およそ3800メートルで、初期費用の追加が約34万円、月額費用の追加が約2000円で、OCNエコノミーが利用できるようになるのではないか。

1998年9月17日、早速OCNインフォメーションセンターに電話で問い合わせてみた。担当者の話によると、「この線路設置費は、提供エリア内で、山の中など、電柱を立てて線路を新たに敷設する際に発生する費用で、エリア外への線路の設置はできない。」という。私が、「エリア外への線路の延長は、すでに電柱も建っていて、エリア内の山の中に新たに電柱を立てるよりも簡単なのではないか。」と問いただすと、後日回答をもらうことになった。

翌日、メールで「OCNの提供エリアは、技術的に問題なくサービスできる範囲毎にエリアとしているので、そのエリアを超えて提供することは技術的な許容範囲を超えることになるので、エリア外へ線路を延長して提供することはできない。」との答えが返ってきた。

そこで、「技術的に提供可能な範囲をエリアとしているのだけであれば、提供エリア外であっても、技術的に伝送可能な距離の範囲内であれば、線路をエリア外に伸ばして、OCNエコノミーを提供できるのではないか。」と再度問い合わせたところ、「技術的に提供可能な範囲をサービス提供エリアとしているので、単に回線を延長してのサービスはできない。」と、また同じことを言う。

みたび、「だから、技術的に提供可能な距離であれば、エリア外でも提供できるのではないのか。それとも、技術的に提供可能な範囲が、行政界にぴったり一致するとでもいうのか。」と問い合わせると、「加入電話やOCN等、NTTの商品は、技術的な許容範囲を満足できるように、交換機ビルを単位に提供している。現状では、集落等を基準に定められている。」と、あいかわらずの回答が返ってきた。これでは、何度聞いても同じことであろう。


第43章 伝送可能距離

先のメールで、OCNエコノミーの伝送可能距離についても一緒に問い合わせたていたが、その回答は、「技術的に提供できる範囲をエリアとしているので、何キロと明確には言えない」と、同じことをいう。

そこで、「NTTビルからの距離が長いため、抵抗の問題でISDNに移行できなかったという話を聞いたことがある。技術的に提供できる範囲をエリアとしているのであれば、すべての場所でISDNに移行できるはずであり、言っていることと矛盾していないか。また、私がOCNエコノミーの提供エリア内に事務所を借りたり、知人の家からディジタルアクセスを引いて利用することも考えらる。伝送可能距離をおおよそでも示してもらわないと困る。」と再度問い合わせると、ようやく「約7キロ以内である。ただし、距離よりも抵抗値が基準となる。」との回答をもらうことができた。

OCNエコノミーの提供ビルから我が家までは約11キロで、線路を伸ばすのは物理的に無理そうである。線路の延長はあきらめざるを得ない。最初の質問で素直に伝送可能距離を答えてさえいれば、こんなにも提供エリアの範囲について追求されることもなかったのである。


第44章 区域外接続の料金

さらに、区域外接続について、追加でいくつか質問をしてみた。

まず、「OCNエコノミーの区域外接続は128KのHSDのみで、通常のOCNエコノミーの月3万8000円に対して、HSDの料金が、15キロまで月9万円、30キロまで月14万2000円と、どちらがメインなのか分からない高額な追加料金になっている。実際に設置する専用線は、「事務所〜NTTビル」までだけで、通常の「事務所〜NTTビル〜事務所」にくらべて、回線は半分で済むはずである。加えて、OCNエコノミーのアクセスラインの事務所までへの設置も不要のはずだ。それなのになぜ、HSDの正規料金で、相互接続の回線のように安くできないのか。」と聞いた。担当者の回答は、「契約約款で決まっていて、区域外接続の料金はHSD料金相当の通常料金となっている。」と、契約約款を持ち出してきた。

これについて、「区域外接続用の専用線が、HSDしか利用できないのはなぜか。将来、ディジタルアクセスが利用できるようになる予定や話はないのか。」と聞くと、「現時点では、その予定はない。」との回答であった。

最後に、「実際、この区域外接続の制度を利用しているユーザーはいるのか。」と質問したところ、「これについては、回答を控えさせていただく。」との返答であった。いるかいないかを聞いているだけで、電気通信事業法の守秘義務に抵触するほどの質問ではないと思うのだか、答えられないところを見ると、区域外接続を利用しているユーザーは1件もいないのではないだろうか。この料金であれば、ディジタルアクセスで別のプロバイダに接続したほうが、品質・料金ともにいいのだから、当然のことではある。


第45章 DIONスタンダード2

DDI(第二電電)も安価な常時接続サービス「DIONスタンダード2」をはじめた。DIONスタンダード2は日本テレコムのODNエコノミー2とほぼ同じサービスで、月額料金は64kb/sの15kmで、ディジタルアクセスの料金を合わせて、わずか3万4000円である。月額の料金面では、ODNエコノミー2とまったく同じである。

そこで、我が家でDIONスタンダード2が利用できるか電話で問い合わせた。担当者によると、「上野MAからだと、一番近いDDIの相互接続点(POI)は津になるが、距離が30キロを超えているので、ディジタルアクセスが利用できないため、提供できない。」と、ODNエコノミー2と同じく、県境を超えて奈良POIへの接続はできないようである。そして、「30キロを越える地域で、技術的にはHSDも利用可能だが、価格的なメリットがないため、HSDでは提供していない。」とのこと。DDI担当者のおっしゃる通り。当然である。

ところで、ODNエコノミー2とDIONスタンダード2ではどちらの方が品質がいいのだろうか。DDIの担当者の話によれば、「8月17日の日経コミュニケーション誌で、DIONのほうがODNよりも共有率が低い。」と自慢げに記事を紹介してくれた。日本テレコムの方に聞けば別の答えが返ってくるだろうが、少なくとも、どちらもOCNエコノミーよりも品質がいいのには間違いないだろう。

テレウェイ(日本高速通信)もODNエコノミー2やDIONスタンダード2と同様のサービスを来春から始める予定だという。OCNエコノミーに対抗するサービスがどんどん開始されてきて、NTTだけがいつまでもお役所仕事をしているわけにはいかないのではないだろうか。

DIONスタンダード2
回線速度 64k(DA64)
回線距離 〜15km 〜30km
月額料金 15,000円
専用回線料金 19,000円 27,000円
月額費用合計 34,000円 42,000円

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